日常を綴る

止まっているようで進んでいて進んでいるようで止まってる

じいちゃん

その日のことを、その日中に残しておかないと時間が経つのと同じくらいわすれてしまう。残せるときに、残していたい。

 

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0118

あっという間に、病棟が変わってしまって、直接会えなくなった。呼吸も自分でできなくなってるって。わたしなりに、全力で関われているのかな。思ったって仕方がないことだけど。


0123

じいちゃん、がんばってくれ〜


0124

病院に会いに行ったけど、コロナだから会えなかった。しばらく会ってないから会いたいよ〜。湯たんぽがいるって言われてたけど、寒いのかな。

 

 

0126

この日が、じいちゃんが亡くなった日。これを書いてる今は、この日からずいぶん日にちが経っているんだけど今でも実感はわいてない。


朝起きたら、危篤状態って連絡が来ていて呼吸が乱れるくらい涙がすでに止まらなかった。会いに行ったときには既に息を引き取っていて、冷たくなって横になったじいちゃんがいた。痩せて、小さくなって、まるで別人だった。

 


いつかこの日がくると分かってたはずなのに、いざとなったら苦しくてしんどくて受け止めきれなかった。もっともっと先のことだと思ってた。じいちゃんとの時間は、たくさん作ってきたはずなのに寂しい。もう会えないなんて信じられない。会いたい。


0202

おじいちゃんが亡くなって、毎日のように泣いて虚無感すごくってどうしようもできない。


0205

変わらない日常を送ることに違和感を覚える。何事もなかったかのように流れる時間が、嫌悪感に塗れる。ふとした時に、なんとも言えない感情が溢れてく。乗り越えなきゃ。


0206

ばあちゃんに会いに来た。たくさん写真を撮った。もっとじいちゃんがおる時にカメラ買っとけばよかった。思い出たくさん残したかった。ばあちゃんとの時間は、たくさん残していこう。


0207

今日で、二七日。朝早くから夜遅くまで、じいちゃんの話をいろんな人がしてくれる。じいちゃんの孫であることが、誇りだよ。目に見えないところで、たくさん人のために動いてたじいちゃん。わたしもそんな人になる。

 

 

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じいちゃんへ


小さい頃からトラックの後ろに乗せて、畑や山に連れてってくれたね。家の池の鯉に餌やりしてたら、一緒に座って話をしてくれてた。竹馬が好きって言ったときには、本物の竹で竹馬を作ってくれた。あれからもっと竹馬が大好きになって、クラスで一番得意になったんだよ。


住んでる町をよりよくしようと、足場の悪いところには階段を作ったり、高齢の人たちもお墓参りできるようにって手すりを作ったり、桜の木が綺麗だろうって千本の桜を植えて桜並木の道を作ったり、雨に濡れないようにってお地蔵さんの屋根まで作ってあげてたね。コロナ対策のマスクは、わたしがお地蔵さんに付けておいたから安心してね。


お正月は、一緒に初詣に行って巫女さんに挨拶して御神籤をひいて墓参りしてたね。間違えて交通安全のお守り買ったのも今思い返すと良い思い出になってる。足が痛いって言うじいちゃんを、後ろから押して上がることも、もう二度と無いと思うとなんだか寂しいよ。いつかまた一緒にこの道を歩けないかなって、どこかで期待してたみたい。


お正月やお盆には、町中の人がやってきてお世話になってますってお礼を言われるじいちゃんは本当にかっこよかった。町中のみんなに慕われて、尊敬されて、人のために生きてるじいちゃんが、自慢だった。

 


お婆ちゃんの作る料理を、自分が作ったかのように「まっとけ〜まっとけ〜(もっと食べろ〜もっと食べろ〜)」って自慢げな様子。「こいは、食べたか?こいも、おいしかぞ。」って言いながら、笑顔でお皿の上に食べきれないくらいのおかずを置いてくれてた。「美味しいときは、うまか〜って大きな声で伝えんば!」って教えてくれた。お婆ちゃんを誰よりも想ってる姿をいつも見せてくれてた。


帰り際には、いつもぎゅっと力強く手を握ってバイバイしてた。見えなくなるまで、お婆ちゃんと二人で手を振ってくれてた。


写真を撮るといつも変な顔して笑わせてくれた。何歳になったかの話をすれば「はよ婿を連れてこい」って必ず言ってきて「じいちゃんと結婚すると」って答えるお決まりのやりとり。すかさず「なんば言いよっとな」ってじいちゃんからのツッコミが大好きだった。


広島にいたときにじいちゃんの入院が決まってから、佐賀に戻るって決めた。毎月必ずじいちゃんとばあちゃんに会うって決めてから十数年間ほとんど会ってきた。色んな理由はあったけど、じいちゃんにすぐに会えるようにって、仕事を辞めた。コロナで最後一年ほとんど会えなかったけど、毎年じいちゃんの誕生日をお祝いできて嬉しかったよ。じいちゃんの喜ぶ顔が、すごく好きだった。あと少しで誕生日だったんだけどな。

 

 
じいちゃんに、愛されて育った。そう言えることも、幸せだった。たくさんのことを教えてくれて、たくさんの世界を見せてくれた。どんなわたしも認めてくれて、どんなときも応援してくれた。本当に本当に心から愛してくれた。これまでも、これからもずっと大好きだよ。わたしのじいちゃんでいてくれて、ありがとう。じいちゃんが、じいちゃんでよかった。

 

本当に本当に、ありがとう。大好きだよ。

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2021/02/07